公差
樹脂・プラスチック加工の公差とは
公差とは、ある基準値を元に許される誤差の最大寸法と最小寸法の差です。
プラスチック部品を加工する際、厳密には図面通りの寸法には加工することはできません。それは、加工条件やその時の気温や材質などのさまざまな要因によって、実際の寸法にバラツキが出るためです。
例えば、長さが150mmの板材を加工するときに、それが149.9mm~150.1mmの範囲内のものであれば合格、つまり±0.1mmまでの誤差であれば合格品とするとした場合、公差は「±0.1」mmという表記をします。このとき、150mmは加工する時の基準となる寸法なので基準寸法、最大値を上の寸法許容差、最小値を下の寸法許容差と言います。
公差が必要な理由
公差を設定する目的は、規格外の不良品をはじき、部品を想定通りに機能させることです。公差が設けられているのは、その部品にとって重要な箇所であったり、相手部品が存在する箇所です。
例えば、内径20Φのリングと外径20Φの筒状の部品を設計していたとして、それを嵌める仕組みで考えていても、公差を設定して検査していなければ部品が入らなかったり、入ったとしても緩かったりして、想定した機能を果たすことができません。これを防ぐために、組付け部分の寸法には適正な公差が必要となります。
しかし、必ずしも個々に公差が設けられているわけではありません。「ここはそこまで重要な寸法ではない」という場合でも、大きくその寸法を外れて良い理由にはなりません。そこで、公差の指示が無ければ多くの場合は普通公差(一般公差)を参照します。普通公差では、基準中心に対して±(数値)という表し方をします。この公差を越えた値が出れば、不良品となり修正や再製作が必要になります。
JIS規格にて許容されている公差は「普通公差」と呼ばれ、精級、中級、粗級、極粗級と許容差が定められています。会社によっては図面に独自の公差範囲を記載している場合もあります。また、図面で使用頻度の多い寸法公差のほかにも、製品の形状に関わる公差である「幾何学公差」、物と物、穴と軸のはめあいのズレを指定する「はめあい公差」などがあります。
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