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プラスチック切削加工のコストダウンの考え方

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プラスチック切削加工のコストダウンの考え方

プラスチックの部品加工において、設計や開発の方が重視する項目の1つがコストです。樹脂・プラスチック切削加工にかかるコストは主に材料費と加工費に大別されます。それぞれの観点からコストダウンの可能性を考えます。

材質選定によるコストダウン

その材質は求める要件のレベルのものか、代替可能かどうか

まず最初に考えたいのは、材質が要件に最適かどうかです。樹脂(プラスチック)には耐熱性、耐候性、耐薬品性、機械的強度といったさまざまな物性があります。

使用環境に適した材質を選ぶことを意識するあまり、過剰なスペックを持つものを選んでいないか確認が必要です。優れた特徴が多い材質は、その分材料費も高くなります。

例えばPEEKなどのスーパーエンジニアリングプラスチックは、多くの側面で優れています。これらは絶縁性と強度の高い材質としても候補に挙がりますが、「絶縁性」で「強度が高い」という条件はエンジニアリングプラスチックのベークライトも要件を満たしています。この場合はベークライトの方が安価であり、要件を満たすならこちらのほうが適した選択です。

上記は極端な例です。実際の材質選定では多くの要件と選択肢の中で1つ1つ確認をしていきます。材質選定の段階でのご相談では、用途をお聞かせ頂いた後に材質候補の提案をさせて頂きますので、お気軽にお問い合わせください。

材質は加工内容に適しているか

使用要件を満たしていても、加工内容によってはその材質であるために、加工費用が高くなることがあります。例えば、細い長穴や肉が薄くなる箇所があるような形状では、加工性が難しい材質(硬い材質など)が加工費を押し上げることがあります。

また、加工する部品に近いサイズの材料の規格がないこともあります。この場合は大きい材料からの切削加工が必要です。元の材料代が安くてもコストが上がってしまうことになります。

材料によっては板厚にばらつきがあるので、これを修正するために6面フライスが必要だと費用がかかります。逆にそこまで厚みの条件が緩い場合はこの費用はかかりません。

金属から樹脂に材料を変更してコストダウンは可能?

これはよくお問い合わせを頂く質問です。金属から樹脂に材質変更する一番のメリットは軽量化です。
一般的に金属レベルの硬度を持つ樹脂切削材料は高価であるため、同等の強度を維持する前提での代替は多くの場合、材料代が高くなります。

そのため、材質を金属から樹脂に変更するだけではコストダウンに繋がらないこともあります。
しかし、加工条件が変わることによりコストダウンが可能な場合もありますので、まずはご相談ください。

樹脂・プラスチック加工方法選定によるコストダウン

加工時に固定ができる形状かどうか

1つ意識したいのは、切削加工する際に機械に固定がしやすい形状かどうかです。固定がしにくい形状は細長い形状、R形状のものあるいは挟むところがない肉薄なものです。固定ができない形状の場合は、固定するための加工治具の作成費用が別途発生します。

公差が適当であるか

通常、数字で表す公差は理論値である以上、シビアになりがちです。事前に用途をお知らせ頂いたり、嵌合部品を預けて頂くことで、公差以上の内容を汲み取って製作することができます。公差の記載がある図面での依頼で、その意図をお聞かせ頂ければ、コスト面で協力が可能な場合があります。

設計ソフトの設定で全箇所自動的に公差が入るような場合は、知らない間にコストを押し上げている可能性があります。部品に求める以上の公差設定をしていないか、確認をしてみましょう。

また、樹脂は伸び縮みのある材質なので、材料によっては10℃変わると0.1mm以上寸法変動します。そのため、金属部品と同じ公差が入ると加工ができない場合や、加工費が高くなることがあります。

角Rは可能か?

切削加工の特徴上、四角穴や四角の掘り込みはエンドミルの径の半径分だけ隅が残ります。この場所に直角のワークを挿入する場合は角のRが干渉してしまい不具合が生じます。そこで角を逃がすように穴を空ける必要があります。

この必要がない場合は、極力半径を大きく設計頂いた方が切削加工で使用する刃物の径を大きくできるため、加工費を抑えられます。特に掘り込みが深い場合は刃長も必要なので、可能な最小Rが小さいと加工費を押し上げます。事前にご相談頂ければ、製作コストを抑えつつ用途を満たす形状を提案させて頂きます。

貼り合わせ、分割は可能か?

分割が可能な場合、材質によりますが一体加工よりも安価で製作できる場合があります。樹脂材質であればポリカーボネート・アクリル・塩ビ・ABSが接着加工ができます。

接着剤を使用する場合はMCナイロンなども貼り合わせることができます。ネジやノックピンを使用して固定する方法もあるので、これらを想定した分割製作もご相談ください。

接着加工例

刃物代が発生する可能性がある加工

特殊ネジ加工や摩耗が激しい材料の加工、深い溝、特殊な穴径で公差のあるものなどは、専用の刃物を用意する必要な場合があります。その場合は別途費用が発生します。

プラスチック加工方法・材質選定にお困りの方へ

湯本電機では、使用用途や環境に合わせた材質の提案、形状の変更の提案をさせて頂きます。現在ご使用中の機械、部品の軽量化、コストダウンでお悩みでしたら、当社へご相談下さい。1部品からオーダーメイドの製品を製作いたします。

樹脂加工・プラスチック加工は湯本電機にお任せ下さい。
短納期で高品質の樹脂加工品を大阪・東京から全国へお届けします。

湯本電機では切削加工から3Dプリントまで、様々なプラスチック加工に対応しております。
対応可能な加工については「プラスチック加工・樹脂加工 加工方法一覧」へ。

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