プラスチック加工とは?樹脂切削加工の基礎
プラスチック加工の基本 プラスチック加工とは プラスチック加工とは、様々な用途に対応できるプラスチック材質を、私たちの生活に役立つ製品へと変えるための加工技術です。丸材・板材からの削り出し、原料となる…
私達の生活は、もはやプラスチック・樹脂製の製品なしでは成立しません。机・パソコン・スマートフォン・ペンなど、さまざまな場面で使用されています。試作・開発を経て、世の中に素晴らしい製品として流通しています。そして、その機能はもちろんデザイン・材質にも理由があります。
例えば家電製品であれば、電気を通すような材質のみで作られていると感電する恐れがあります。そこで絶縁性のプラスチック・樹脂が用いられます。逆に電気を通す必要のある製品、部品であれば導電性のプラスチック・樹脂や金属材質が使用されます。
薬剤を入れる容器に使用される材料は、液体に腐食されず、薬品に強い特性の材質を選びます。また、プラスチックには様々な物性をもった材質が存在しています。そのため、用途に応じて適切な材質を選ぶことができます。また、プラスチックは金属と比べると軽いので、金属部品をプラスチック部品に変えることで軽量化ができます。
プラスチック・樹脂は主に熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の2つに大別されます。熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の違いは、主に成形された後に熱を加えて軟化するかどうかにあります。熱硬化性樹脂は一度硬化すると加熱しても溶けず、焦げます。熱可塑性樹脂は耐熱温度を超えると軟化します。
熱硬化性樹脂は、一般的に強度が高く耐熱性に優れています。当社で切削加工する熱硬化性樹脂にはベークライト・エポキシガラスが挙げられます。一方で、一般的に使用されているプラスチックの大半は熱可塑性樹脂です。当社で切削加工する機会が多い熱可塑性樹脂としては、POMやMCナイロン、ABS、フッ素樹脂、PEEKなどがあります。
熱可塑性樹脂は汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチックに分類されます。エンジニアリングプラスチックとは通常のプラスチックと比べて耐熱温度や、機械的強度が優れている材質の総称です。
エンジニアリングプラスチックは、耐熱温度100℃以上で一定以上の強度を有するものを指します。さらに性能の優れたプラスチックはスーパーエンジニアリングプラスチックと呼ばれます。PEEKやフッ素樹脂がこれに当たります。
プラスチック材質は切削加工性・成型性が良く、種類も豊富です。用途に特化するため、これまでに様々な添加物を付与した材質が開発されています。例えば摺動性を良くするために潤滑剤になるグラファイトを添加したもの、カーボンを付与して帯電しにくくしたもの、ガラス繊維を添加して強度をより強くしたものや、他にも難燃材を添加したグレードが存在します。
用途に適したピンポイントの材質を探すことは容易ではありませんが、まずはプラスチック・樹脂の弱点である強度を意識して、どの程度負荷がかかる場所の部品なのか、どのくらいの温度で使用するのかを考慮した選ぶことが失敗しにくい材質選定に繋がります。詳しく用途をお聞かせ頂ければ、当社で樹脂材質の選定が可能ですので、是非設計段階からご相談ください。
一般的に削りやすいのはプラスチック材質ですが、プラスチック特有の性質もあるので、切削加工時には注意が必要です。例えば加工中の割れや欠けです。硬度の高い材質は加工中に割れが発生することがあります。
これを防ぐために送りや回転数をコントロールする必要があり、刃物の抜ける箇所は敷板等のツールが必要な場合があります。また、加工により発生した高熱により、変形や反り・焼け付きが発生することもあります。
当社では材質に合わせた切削条件を社内で共有し、次回以降の加工のために活用しています。そのため、多様なプラスチック・樹脂の切削加工を最適な条件で行うことができます。
コスト面で考えると同じ体積で比較したとき金属に比べてプラスチック・樹脂の方が高額な傾向にあります。材質によっては数倍以上の金額となりますが、重量の問題から樹脂を選定することもあります。
また、加工内容によっては加工コストを金属材質よりも抑えられる場合があります。こちらも用途をご相談頂ければプラスチック・樹脂と金属のコストを比較してご案内することができます。
プラスチック材質はその性質により温度で収縮・膨張することから、金属と同レベルの寸法精度を再現することは困難です。しかし、嵌合部品などは一緒に製作することでピッチをあわせたり、相手物に合わせて目的に応じた寸法に調整することは可能です。
精度の必要なプラスチック・樹脂部品があれば、その用途をお知らせの上ご相談ください。
湯本電機では切削加工から3Dプリントまで、様々なプラスチック加工に対応しております。
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