プラスチック加工PEEK

PEEK

# すべりがよい
# 寸法安定性が高い
# 絶縁
# 耐摩耗性が高い
# 耐熱性が高い

名称

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)

PEEKの特徴

PEEKは熱可塑性樹脂の中で最高レベルの耐熱性と機械的強度を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。耐熱性・寸法安定性・耐薬品性・耐摩耗性・機械的強度の特性がどれも高水準です。
連続使用温度は240℃~260℃、融点は334℃、ガラス転移点は143℃です。耐熱水性がプラスチック素材の中で極めて高く、200~250℃のスチーム中で連続使用が可能です。高温環境でもほとんどの酸・アルカリ・有機溶剤に対して耐性を持ちます。しかし、濃硫酸などの一部の薬品には侵されるため、使用環境とメーカーへの確認が必要です。PEEKは難燃性で燃えにくく、燃焼時の有毒ガスの発生量も非常に少ない素材です。機械的強度が高いため、プラスチック素材の中では難削材に当たります。しかし、金属素材と比較すると切削加工がしやすい部類に入るため、加工難易度は高くありません。

機械的強度

引張強さ(98MPa)・耐衝撃性(アイゾット衝撃強さ 77J/m)に優れ、広い温度域で高い強度を維持します。ガラス繊維・炭素繊維によって更に強度を強化したグレードも存在します。

耐熱性

スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも特に優れた耐熱性を持ちます。連続使用温度は240℃~260℃で、200~250℃のスチーム中で連続使用が可能です。そのため、スチーム減菌による処理を行うことができます。

難燃性

PEEKは難燃性の素材です。燃焼時の発煙や腐食性ガス・有毒ガスの発生、真空時の有毒ガスの発生が極めて少ないです。

《使用・PEEK加工の際の注意点》

プラスチック素材としては、弱点がほとんどありませんが、高価です。金属部品からの代替として、コスト面を考慮しなければまず候補に挙がります。しかし、コストダウン目的では厳しい可能性もあるため、部品の要件に対してオーバースペックになっていないかの確認が必要です。硬度が高いため、加工中は欠けに注意しながら加工する必要があります。

外観

素材の上下面は光沢があります。灰色

用途

各種製造ライン用部品、医療機器部品、半導体・液晶製造装置部品、検査装置部品、製造用治具、原子力関連部品、電子部品、各種精密機器部品、食品加工機械関連部品、化学プラント関連部品、溶接機器関連部品、メッキ加工機器関連部品、金属表面処理関連部品

PEEK加工品の使用例

医療産業

医療用グレードPEEK加工品は、骨の固定器具に利用されています。これには取付時や日常生活で変形しない強度と、人体に無害であること(生体適合性)、そして正確な検査のためX線を透過することが要求されます。医療グレードPEEK加工品は、これらの要求に応える機械的強度と生体適合性を持ち、さらに金属よりも軽量で扱いやすいというメリットがあります。また、医療グレードの中には、血液や体組織への24時間以内の接触に適した素材が存在します。これはヒーリングキャップ、仮の支台歯、歯科インプラントの治癒期に使用する歯肉フォーマーなど、歯科領域のカテーテルやインプラント治療器具に利用されています。金属製インプラントはX線撮影の際にノイズの原因になることがありますが、PEEKはX線透過性が高く、この問題が起こりません。

航空宇宙産業

航空宇宙産業では、ブレーキの部品に利用されています。航空機のブレーキシステムには、温度変化・環境条件への耐性と機械的強度が必要です。さらに、電動制御による精度を維持するためには、摩耗特性と耐荷重性も重要になります。そこで、高い強度・耐熱性・耐候性を持ち、優れた摩耗特性・低摩擦係数により金属製嵌め合い部品同士の摩擦が軽減される摺動性PEEK加工品が採用されています。

食品産業

PEEKはピッキング工程や包装工程に使用されるロボットアームにも利用されています。高速での長時間稼働による摩耗が懸念を解決するため、アルミニウム合金からの代替としてPEEK部品が採用される例があります。PEEKの高い機械的強度と摺動性、薬品に対する高い耐性が採用される理由です。

物性表

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)の物性表はこちら
※測定値は保証値ではなく参考値です。

PEEKの加工精度

PEEKは寸法安定性・機械的強度に優れた切削加工に適した素材です。そのため条件によっては±0.02mm程度の高精度切削加工に対応することが可能です。

PEEK加工は湯本電機にお任せください

当社では試作や1個からの小ロット・量産まで、PEEK加工をお客様のご必要な数量で承ります。詳細な図面がなくても、簡単な手書きの図面でもお見積り・加工させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。試作で1個製作し、品質のご確認・コストダウンなどの提案を経て、その後量産に取り掛かるという対応もしております。そのような加工案件がございましたら是非ご相談ください。

PEEK加工、樹脂加工・プラスチック加工は湯本電機にお任せください。短納期で高品質の樹脂加工品をお届けします。

湯本電機では切削加工から3Dプリントまで、様々なプラスチック加工に対応しております。
対応可能な加工については「プラスチック加工・樹脂加工 加工方法一覧」へ。

取扱規格表

板材丸棒
ナチュラル色ナチュラル色
厚み(mm)幅×長さ(mm)外径(φ)長さ(mm)
1500×1,00061,000
2500×1,00081,000
3500×1,000101,000
5500×1,000
620×1,000
121,000
6500×1,000
620×1,000
151,000
8500×1,000
620×1,000
161,000
10500×1,000
620×1,000
181,000
12500×1,000
620×1,000
201,000
16500×1,000
620×1,000
221,000
20500×1,000
620×1,000
251,000
25500×1,000
620×1,000
281,000
30500×1,000
620×1,000
301,000
35620×1,000321,000
40500×1,000
620×1,000
351,000
45620×1,000401,000
50620×1,000451,000
60620×1,000501,000
601,000
701,000
801,000
901,000
1001,000
1101,000
1401,000
1501,000
2001,000

取り扱いメーカー

ビクトレックス社
三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ株式会社
株式会社セイトー社
エンズィンガージャパン株式会社

その他のグレード

●ケトロン 1000 PEEK
PEEK加工
※メーカー製品情報ページ

FDAに適合し、PEEK樹脂の中では最も高い伸びと強靭性を示します。
タイプ
[旧名]
基本グレード
[ポリペンコ PEEK]
特徴耐薬品性
機械的強度
FDA規格に適合
主な用途半導体・液晶産業用の各種部品
メッキ工程用の各種部品
理化学機器用部品
食品加工機械の各種部品

●ケトロン HPV PEEK
PEEK加工
※メーカー製品情報ページ

炭素繊維、グラファイトおよび四フッ化エチレン(PTFE)を充てんした摺動グレードです。
タイプ
[旧名]
摺動グレード
[PK-450FC]
特徴摺動性・耐摩耗性
主な用途半軸受、ライナー等の摺動部品

●ケトロン GF30 PEEK
PEEK加工
※メーカー製品情報ページ

30%ガラス繊維強化グレードなので、基本グレードに比べて高い剛性および耐クリープ性をもつとともに、寸法安定性に優れています。また、高温下での機械的特性にも優れています。
タイプ
[旧名]
ガラス繊維強化グレード
[PK-450GF]
特徴剛性・耐クリープ性
寸法安定性
主な用途長時間、高い静的荷重のかかる場所への用途
構造部材

●ケトロン CA30 PEEK
PEEK加工
※メーカー製品情報ページ

30%カーボン繊維強化グレードなので、ガラス繊維強化グレードよりもさらに剛性が高く、
機械的強度およびクリープ性、良好な耐摩耗性を併せもっています。
さらにカーボン繊維のため、基本グレードに比べて約3.5倍高い熱伝導率をもちますので、
摺動部品表面からより早く熱を放散します。
タイプ
[旧名]
カーボン繊維強化・導電性グレード
[PK-450CA]
特徴導電性
主な用途静電気障害やほこりを嫌う部品

●セミトロン ESd490 PEEK
PEEK加工
※メーカー製品情報ページ

機械的特性を高めたPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)素材。耐熱性・寸法安定性に優れています。
タイプ
[旧名]
カーボン繊維強化・導電性グレード
[ESD490HR]
特徴機械的強度
耐熱性
寸法安定性
主な用途各種製造ライン用部品、半導体・液晶製造装置部品
半導体検査装置部品、電気・電子部品
搬送容器・治具

PEEKの加工方法

当社では切削加工によるPEEK部品のオーダーメイド製作をしています。短納期で1つから加工できることが特徴で、1つから数千個程度の量産に適しています。加工方法は大きく分類してフライス加工と旋盤加工の2つあります。形状によってフライス加工と旋盤加工のどちらか、または両方の加工を行います。

フライス加工

3軸~5軸のマシニングセンタを使って、主に板やブロックの形状から素材を削ります。5軸での加工ではインペラのような自由曲面形状の加工も可能です。

PEEK加工方法

旋盤加工

主に丸棒の素材を回転させながら、切削工具に当てて削るプラスチック加工です。外径・内径削り、溝入れ、穴あけなどのさまざまな加工が可能です。

PEEK加工方法

特性

比重耐熱温度電気特性寸法安定性耐摩耗性耐衝撃性すべり特性
1.32-50~260℃絶縁

加工事例

PEEKPEEKPEEKPEEKPEEKPEEKPEEKPEEKPEEK
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