難燃性プラスチック材質の種類と特徴
難燃性とは 難燃性とは、燃えにくく、燃えても自己消火性を持つ材質を言います。プラスチック材質の物性において、難燃性を基準に材質選定をする機会があります。金属材質と異なり、プラスチックは有機物であるため…
塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)は、熱可塑性の非結晶性プラスチックです。塩化ビニルを重合させたプラスチックの一種で、重合度により用途が異なります。五大汎用樹脂の1つで、安価で汎用性の高い素材です。
軟質塩ビと硬質塩ビの2種類あります。軟質塩ビは軟らかく柔軟性に優れ、硬質塩ビは硬く強度面に優れ部品として使われます。本記事では「硬質塩ビ」を「塩ビ(ポリ塩化ビニル・PVC)」として特徴を紹介します。
耐薬品性
耐酸性、耐アルカリ性、耐油性が良好で、汚水中の酸・アルカリ、硫化水素による劣化に強い耐性があります。アルコール類への耐性にも優れます。しかし、芳香族系炭化水素類、ケトン類、エステル類などの有機溶剤には侵されるので注意が必要です。そのためシンナーやアセトンなどが使用される環境には向いていません。有機溶剤に反応しやすい性質を活かして、接着加工や塗装をすることができます。
耐候性・耐食性
塩ビの吸水率は0.07%と、プラスチック材質の中でも低い部類に入ります。紫外線や雨による経年劣化をしにくく、下水道のパイプや建築資材などにも使用されています。酸性土壌による腐食もなく、埋設されると長期にわたって性能を維持します。
電気絶縁性
電気絶縁性に優れ、耐電圧や体積抵抗率にも優れた素材です。しかし誘電率は高いため、高周波絶縁性は良くありません。この特徴から高周波溶着加工が可能です。
耐熱性
塩ビの耐熱性は低く、耐熱温度は約80℃で、それ以上の温度で物性の低下、形状の変化が起こります。線膨張率が高く、常温を超える温度で使い続けると反りや歪みが発生することがあります。また、-20℃以下の低温域で脆化し、衝撃による破損が起こりやすくなります。
難燃性
プラスチック素材の中でも難燃性が高く、燃えにくい素材です。燃焼すると、発生した熱分解ガスの塩化水素が燃焼連鎖反応を止めます。さらに空気中の酸素から塩ビ表面を遮断することで、燃焼の継続を防ぎます。
加工性
塩ビは切削加工に加え、曲げ加工や接着加工も行うことができます。対応加工の範囲が広く、加工性に優れています。
塩ビは、耐薬品性・電気絶縁性に優れながらも安価な素材であるため、日用品から建築物まで多くの場面で使用されています。
切削加工の他にも、接着・曲げ加工を行うことができます。耐熱温度が低いため、熱して柔らかい状態にすることで、曲げてレールやフレームのような形状に加工することできます。
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