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POMの特徴|耐磨耗性に優れた樹脂

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POMとは

POMはエンジニアリングプラスチックの1つで、優れた耐熱性と機械的強度を持つ素材です。汎用プラスチックよりも耐熱性と機械的強度が高く、多くの場面で使用が可能な材質です。POMの名称の由来は化学名であるポリオキシメチレン(PolyOxyMethylene)で、これを省略してPOMと呼ばれています。ポリアセタールやアセタール樹脂と呼ばれることもあります。

POMとは

POMは結晶性の熱可塑性樹脂で、主に(-CH2O-)の構造単位から成ります。ホルムアルデヒドの結合でつくられたポリオキシメチレンの分子鎖からできているホモポリマーと、ホルムアルデヒドの三量体であるトリオキサンにエチレンオキサイドなどを結合してつくられたコポリマーが存在し、前者はデュポン社のデルリン、後者はポリプラスチックス株式会社のジュラコン®が代表例です。

ホモポリマー

ホモポリマーの「ホモ」は「同質」という意味であり、「ポリマー」は「高分子」を意味しています。つまりホモポリマーとは「全て同じモノマーユニットにより構成されている高分子」を指します。ホモポリマーは炭素-酸素結合のみで主鎖を形成しています。

コポリマー

コポリマーは「異質のモノマーユニットにより構成されている高分子」を意味しており、その中でも2種類のモノマーユニットで構成されているものをコポリマーと言います。ホモポリマーより熱安定性に優れ、成型時の分解が少ないため、変色やガス発生が少ない特徴があります。

これらで構成されたPOMは、高温時の耐熱水性・耐アルカリ性・耐油性に優れています。またコポリマーはこの化学構造により、ホモポリマーより結晶化度がやや低く強度や剛性はやや低い反面、柔軟性に優れています。ホモポリマーに比べて融点や熱たわみ温度は約10℃低いですが、実用的な耐熱性にほとんど差はありません。

POMの特徴

POMは機械的強度・耐摩耗性・耐薬品性に優れています。自己潤滑性があり、特に金属素材との間の摩擦係数が低く、摺動部分の使用に適しています。価格も高くはないため、まず検討をするのに丁度良い性能をしています。

連続使用温度はホモポリマーが約85℃、コポリマーが約105℃で、短時間なら約150℃までの使用に耐えることができます。吸水・吸湿率が低いため水気や湿気による寸法変化が起こりにくく、寸法安定性に優れています。

また、切削加工性に優れ、加工によるバリが発生しにくい材質です。バリが発生しても取り除きやすいため、小さな穴の開いた部品などの精密加工に向いています。

名称比重弱アルカリ強アルカリ弱酸強酸寸法安定性
POM1.41×
耐熱耐燃性耐候性耐溶剤吸水率食品衛生法
95遅燃×低い

POM選定上の注意

POMは耐薬品性に優れた材質で、多くの薬品・有機溶剤に対する耐性があります。しかし、塩酸や硫酸などの強酸に対する耐性はないため、事前に使用環境の確認が必要です。多くの接着剤にも耐性があるため、接着加工には向いていません。

また、耐候性は優れておらず、屋外での使用により変色や劣化が起こることがあります。

基本グレードでの酸化指数は15で、プラスチック素材の中でも燃えやすい部類に入ります。そのため火気の周辺での使用には適していません。燃えると青く発炎し、目を刺激するホルマリンの臭いがします。

POMの用途

プーリ、スイッチ、歯車、自動車部品(燃料ポンプなど)
軸受(ベアリング)、摺動部品
機械部品、射出成形品、日用雑貨など

POMの用途POMの用途

カラー/サイズ

白/黒/黄色
φ4~φ250の丸棒材から、厚み0.2mm~100mmのシート、板材まで豊富なラインナップの中から選ぶことができます。

POMのサイズ

POMの原料商品名と製造メーカー

テナック旭化成ケミカルズ株式会社
エコタールインターテック株式会社
デルリンデュポン
コセタール東レインターナショナル株式会社
ウルトラフォルムBASFジャパン株式会社
ジュラコン®ポリプラスチックス株式会社
ユピタール三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社

普及までの経緯

ポリアセタール(POM)を初めて開発したのは、世界的に有名な化学会社「デュポン社」です。1952年頃に初めて合成された素材で、1956年に特許を取得し1960年になって製造開始された素材です。開発したデュポン株式会社によってデルリン(Delrin)の商標が登録され、ポリアセタール(POM)ではなくデルリンの製品名で知られています。

また、ポリアセタールはこのデルリンの他に、1961年にアメリカのelanese社(現Ticona社)によって開発され、ポリプラスチックス社によって販売されたジュラコン®が登場しました。ポリアセタールは1960年代初頭に生産が開始され、その高い耐磨耗性からベアリング(軸受)への使用が広まりました。

その後も高い強度と滑らかな自己潤滑性、そして安価というメリットから徐々に世間に広まり、ネジやギア、フルートやホイッスルといった楽器類などにも使用が広まりました。また、それ以外にも電子機器関連のカバーやモジュールパーツ、自動車用部品など強度や耐久性、耐磨耗性といった機能が要求される部分に適性の高いプラスチック素材として普及しています。

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