難燃性プラスチック材質の種類と特徴
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ABS樹脂は1960年頃から使用され始めた素材で、アメリカの企業U.S.Rubber社によって1954年に製品化されました。
ポリスチレンにアクリロニトリル、ブタジエンを化学的に結合することで、耐衝撃性を改良した素材です。
アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、ポリスチレン(S)の頭文字をとって、ABS樹脂と命名されました。
アクリロニトリル、ブタジエン、ポリスチレンにはそれぞれ以下のような特性があります。
アクリロニトリル…耐熱性、機械的強度・耐油性に優れる
ブタジエン…ゴムの特性を持ち、耐衝撃性に優れる
ポリスチレン…光沢性を持ち、加工性・安定性に優れる
ABS樹脂はアクリロニトリル、ブタジエン、ポリスチレンの長所を併せ持った素材です。
強度に優れ、見た目には光沢があり美しい外観を持っています。
工業製品にはデザイン性が重要視されるものも多いため、外観が重要な部品にはABS樹脂が使用される頻度が高いです。
また、塗装や印刷、表面加工などの後処理にも適しており、その柔軟性から幅広い分野でものづくりに重宝されています。
耐薬品性(酸、アルカリ)もある程度優れていますが、プラスチック素材の中でABS以上に優れた耐薬品性を持つものは多くあります。
アルコールに長時間漬けると膨潤します。さらに強酸、強アルカリ、鉱物油等でも劣化、侵食されます。
外観はクリアな透明ではなく、薄く黄色(肌色、アイボリー)がかった半透明です。
機械的性質のバランスも良く、加工性や硬度、耐衝撃性にも優れます。難燃化や繊維強化もでき、着色も可能な樹脂です。
短所としては直射日光への耐性が低く、長時間晒すと劣化していきます。
α-メチルスチレン系ABS樹脂:スチレン→α-メチルスチレン…耐熱性向上
ASA樹脂:ブタジエン→アクリルゴム…耐衝撃性を維持しつつ耐候性向上
ACS樹脂:ブタジエン→塩素化ポリエチレン:難燃性と耐候性向上
AES樹脂:ブタジエン→EPDM…ABS樹脂と同等の機械的物性と耐候性向上
さまざまな加工方法を選ぶことができるため、日用品、自動車部品、電化製品、工業部品などの幅広い用途や箇所で使用されています。
雑貨やその部品、プラモデル、電化製品の外殻として、試作品・モデル製作時の素材、自動車のメッキ部分、リコーダー、透明部分を除いたありとあらゆる樹脂パーツへ使用が可能です。
スーツケースやキャリーケースの中にも、軽量化のためにABS樹脂が使われているものが販売されています。
この用途では他にポリカーボネート製のものがあります。
ポリカーボネートとABS樹脂の用途が被るのは、キャリーケースやスーツケース、アタッシュケースなどといったプラスチック製のカバン類が多く、
これ以外の用途においては比較や競合の対象とはなり難い組み合わせではあります。
この2つには同じプラスチック素材として、以下のような点で違いがあります。
常用温度、耐熱性、耐熱温度
ABS樹脂:70~100℃
ポリカーボネート:120℃~130℃
ガラス転移温度がより高いため、ポリカーボネートのほうが僅かではありますが耐熱性には優れているといえます。
耐衝撃性
ポリカーボネートの最大の強みは衝撃に対する強さです。
ABSも耐衝撃性に優れた素材ですが、この点ではポリカーボネートの方が優れています。
耐薬品性
ABS樹脂はケトンやエステルなどの有機溶剤に弱く、溶解したりひび割れたりします。また、強酸にも弱い性質があります。
ポリカーボネートはアルカリ性の溶剤や薬剤に弱くなっています。
耐候性
プラスチックは耐候性が低いものが多く、紫外線などがあたる環境や日光にさらされるような場所で使用すると黄変劣化などを起こし、ボロボロになってしまいがちです。
ABS樹脂やポリカーボネートも例外ではなく、長時間の曝露では劣化を免れることができません。
透明性
ABS樹脂の透明は完全なクリアではなく、若干色味がついて見える程度です。
それに対してポリカーボネートは光学部品にも使われるほど透明度が高く非常にクリアに見えます。
キャリーケースやスーツケースの素材として比較する場合には、透明性は問われませんので、代わりにプリント性のよさや色彩と言ったデザイン面が重要となります。
可燃性
ABS樹脂は燃焼しますが、ポリカーボネートは不燃性の良いプラスチックです。
フィラーを充填することよって性能をある程度変化させることや、機能を付加することもできますが、ベースの材料の性質を根本的に変えてしまうことはできません。
*フィラー:下塗りに使われる充填剤
当社ではプラスチック切削加工のご注文に最短納期で対応するため、一定数を在庫として管理しています。
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